■ 図8-1a 食物アレルギー診断のフローチャート(食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)
乳児アトピー性皮膚炎では、詳細な問診の上、スキンケア指導や薬物療法を行っても症状が残存した場合に食物アレルギーの存在を考慮する。特異的IgE抗体陽性だけでは診断確定とはならず、食物除去試験で症状が改善し、食物経口負荷試験で症状誘発を確認することが必要である。湿疹の改善が乏しかったり、多抗原への感作を認める場合には専門医への紹介を考慮する。
■ 図8-1b 食物アレルギー診断のフローチャート(即時型症状)
即時型アレルギー反応で発症した場合、問診や検査などから原因食物が特定できないときには経口負荷試験を行う。実施が困難なときには専門医への紹介を考慮する。
■ 図8-3 プロバビリティーカーブの読み方
プロバビリティカーブとは、測定値に対する症状誘発の確率をロジスティック回帰法により算出してプロットしたものである。図8-3 のカーブでは、特異的IgE 抗体価2 kUA/L の場合、症状誘発の可能性は50%、20 kUA/L の場合は95%となる。
プロバビリティカーブを参考にするときの注意点としては、①算出した対象集団、②食物アレルギーの判断(OFC、症状誘発歴、陽性の判定基準など)、③ OFC の方法(加熱卵か非加熱卵か、総負荷量など)、④血清総IgE 値、⑤年齢などにより結果が異なることである。
■ 表8-2 保険収載されている食物アレルゲンコンポーネント特異的 IgE 抗体検査
粗抗原に加え、アレルゲンコンポーネント特異的IgE 抗体の測定により、より精度の高い診断が可能となる。