[ 要 旨 ]

  1. 1経口免疫寛容の破綻は、アレルギーの発症メカニズムの一つと考えられている。
  2. 2食物アレルゲンの感作経路は、胎内、皮膚、消化管、気道などが知られている。
  3. 3IgE 依存性反応では、アレルゲン特異的IgE 抗体が誘導され、マスト細胞上の高親和性IgE 受容体に結合して感作が成立する。
  4. 4IgE 依存性反応では、マスト細胞上の複数のアレルゲン特異的IgE 抗体とアレルゲン の結合によりIgE 抗体が架橋され、脱顆粒によるケミカルメディエーターの放出と脂質メディエーターなどの産生が誘導される。
  5. 5非IgE 依存性反応は、アレルゲン特異的リンパ球により誘導される炎症と考えられている。
  6. 6乳幼児期の即時型食物アレルギー患者の多くは、成長とともに自然耐性を獲得する。 その機序として、成長による消化管の消化機能、物理化学的防御機構、経口免疫寛容の発達などが考えられている。
  7. 7アレルゲン免疫療法により、脱感作、持続的無反応(sustained unresponsiveness)が誘導される。

図4-2 IgE 依存性食物アレルギーの機序

IgE依存性食物アレルギーでは、食物アレルゲン特異的IgE抗体が産生され、マスト細胞上の高親和性IgE受容体に結合して感作が成立する。複数の食物アレルゲン特異的IgE抗体と食物アレルゲンの結合によりIgE 抗体が架橋され、脱顆粒によるケミカルメディエーターの放出と脂質メディエーターなどの産生が誘導され症状が誘発される。