[ 要 旨 ]

  1. 1経口免疫療法(oral immunotherapy, OIT)とは「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して、事前の食物経口負荷試験(oral food challenge, OFC)で症状誘発閾値を確認した後に原因食物を医師の指導のもとで継続的に経口摂取させ、脱感作状態や持続的無反応の状態とした上で、究極的には耐性獲得を目指す治療」とする。
  2. 2本ガイドラインでは、OIT を食物アレルギーの一般診療として推奨しない。
  3. 3症状誘発の閾値が不明、もしくは低い症例に、OIT としてではなく、自宅で増量を指導することは症状誘発リスクが高いため、安易に行うべきではない。
  4. 4脱感作状態とは、原因食物を摂取し続けていれば症状が出現しない状態を指し、持続的無反応とは、数週から数か月の除去後に摂取しても症状が誘発されない状態を指す。
  5. 5治療中の副反応の頻度は高く、治療中断後の摂取や摂取後の運動により症状が誘発されることや稀に予期せずにアナフィラキシーを含む重篤な症状を誘発することがある。
  6. 6日常的にOFC を実施し、症状誘発時に迅速に対応できる食物アレルギー診療を熟知した専門医が臨床研究として倫理委員会の承認を得て、患者および保護者に十分なインフォームドコンセントを行い、症状出現時の救急対応に万全を期した上で慎重に実施すべきである。

図11-1 経口免疫療法の概要

・適用判定の食物経口負荷試験、増量期、維持期から構成される。
・一定期間の脱感作状態の後、数週から数か月間原因食物を除去し、食物経口負荷試験で持続的無反応到達を評価する。

経口免疫療法とは「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して、事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認した後に原因食物を医師の指導のもとで継続的に経口摂取させ、脱感作状態や持続的無反応の状態とした上で、究極的には耐性獲得を目指す治療」とする。 脱感作状態とは原因食物を摂取し続けていれば、症状誘発閾値を超えても症状が出現しない状態を言い、持続的無反応状態とは数週から数ヶ月の除去後に摂取しても症状が誘発されない状態を言う。


表11-2 経口免疫療法実施施設および医師に求められる条件

経口免疫療法は日常的に食物経口負荷試験を実施し、症状誘発時に迅速に対応できる食物アレルギー診療を熟知した専門医が臨床研究として倫理委員会の承認を得て、患者及び保護者に十分なインフォームド・コンセントを行い、症状出現時の救急対応に万全を期した上で慎重に施行すべきである。