第13章 患者の社会生活支援

[ 要 旨 ]

  1. 1食物アレルギーの診療にあたる医師は、食物アレルギーに関する社会的な対応を理解し、支援することが期待されて
      いる。
  2. 2学校・幼稚園、保育所生活において何らかの配慮が必要な食物アレルギー児は、「学校生活管理指導表」、
      「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」を提出する。医師は記入のルールを熟知し、現場でのアレルギー
      対応に必要な情報を記入する。
  3. 3給食における対応は安全性の確保を最優先とする。このため、家庭で行う必要最小限の除去とは異なり、完全除去か
      解除かの二者択一による給食提供が推奨されている。
  4. 4万一、誤食が起きたときに速やかに対応できるように、学校・幼稚園、保育所関係者に対して指導を行う。
  5. 5アドレナリン自己注射薬を処方するときには相互禁忌薬剤に注意し、使用するタイミングと方法を十分に指導する。
図13-1 学校・幼稚園、保育所における 生活管理指導表の活用の流れ

入学・入園、進級、転入時および新規発症時に対象者を把握する。何らかの対応が必要な場合には生活管理指導表(図2、図3)を配布する。それを基に個人面談を行い、校長・園長を委員長としたアレルギー対応委員会を設立し、組織として対応する。

学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)

(公益財団法人日本学校保健会『学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』より転載)

図13-2 学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)

2008年日本学校保健会作成の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」、2015年文部科学省発刊の「学校給食における食物アレルギー対応指針」において、学校において食物アレルギー対応を求める場合には、学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)の提出が必須とされた。医師の正しい診断に基づいて、根拠を持ったアレルギー対応をとるための基本となるもので、学校での生活の質、安全性を左右する重要な書類である。

保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表

『保育所におけるアレルギー対応ガイドライン』より転載)

図13-3 保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表

2011年に厚生労働省から発刊された「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に示されている。乳児期から保育園に入園する年齢では診断が確定していないこともあるため「診断根拠」ではなく「除去根拠」とされている。また、乳児ではまだ与えないような食品もあるため、「④未摂取」という選択肢も用意されている。

図13-4 一般向けエピペン®の適応

エピペン®を使用するタイミングを分かりやすく提示するために2013年日本小児アレルギー学会アナフィラキシー対応ワーキンググループにより作成された。患者・保護者への説明、保育所(園)・幼稚園・学校などのアレルギー・アナフィラキシーガイドライン・マニュアルはすべてこれに準拠することを基本とする。

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