第8章 食物経口負荷試験
[ 要 旨 ]
- 1栄養食事指導のポイントは、必要最小限の除去、安全性の確保、栄養面への配慮、患者と家族のQOL維持である。
- 2患者や家族に対して、誤食を防止するために生活上で注意すべき点を指導する。
- 3食品表示法(平成27年4月施行)からアレルギー物質の表示方法が一部変更となったが、経過措置期間は旧法に
基づく表示の加工食品も流通している。 - 4食物除去の開始後は定期的に栄養面を評価し、必要に応じて栄養士の協力を得て栄養指導をする。
- 5食物経口負荷試験などによる評価をもとに、安全性を確保しつつ具体的な食品を挙げるなどして個々の患者に
合わせた食事指導をする。
■図8-1 管理栄養士との連携
栄養食事指導の基本は、原因食物の必要最小限の除去である。関係者の情報共有を行い、安全には十分配慮する。患者だけではなく家族のQOLにも配慮した指導が求められる。
■表8-2 表示の対象
※: 食品中に原材料のアレルゲンが総タンパク量として数μg/g
含有または数μg/mL濃度レベルのものが表示の対象となる。
現在「アレルゲン」として特定原材料7 品目(表示義務あり)とそれに準ずる20品目(表示を推奨)の計27品目が表示の対象となっている。
■表8-3 加工食品のアレルギー表示
※: 平成27年4月施行された食品表示法によって廃止されたが、施行以前に加工された食品が一部流通している可能性もある。
食品表示法になり表記方法が変更され、特定加工食品が廃止された。
■表8-5 一般的に除去が不要な食品一覧
※: 重症者では上記食品の一部で症状が見られたという報告もある。
食物アレルギー患者の多くでは、それぞれ例示した食品の除去は必要としないことが多い。
■表8-6 牛乳アレルゲン除去調製粉乳
*1: ビオチン・カルニチン添加製品の製造承認を取得し今後切り替え予定。
*2: 標準調乳100mLの含有量。
※:風味は分子量が大きいほど良好で飲みやすい。
わが国で使用されている牛乳アレルゲン除去調製粉乳の濃度、分子量、組成を示す。すべての製品にビオチンなどの微量栄養素が添加されている。