第12章 社会的対応

[ 要 旨 ]

  1. 12-1. 新生児・乳児消化管アレルギー
    1新生児から乳児期において主に牛乳が原因で嘔吐、血便、下痢などの消化器症状により発症する。
      主として非IgE依存性アレルギーである。
  2. 2本疾患概念はわが国独自のものであり、国際病名であるfood-protein induced enterocolitis syndrome(FPIES)、
      food-protein induced proctocolitis(FRIP)およびfood-protein induced enteropathy(FPE)を包括している。
      また、好酸球性消化管疾患の一つとして捉えられる場合もある。
  3. 3除去・負荷試験を中心に診断し、治療は原因食物の除去が基本である。一般に予後は良好である。
  4.  
  5. 12-2. 好酸球性消化管疾患(eosinophilic gastrointestinal disorders,EGIDs)
    1好酸球の消化管局所への異常な集積から好酸球性炎症が生じ、消化管組織が傷害され、機能不全を起こす疾患の
      総称である。その機序として、IgE依存性・非IgE依存性アレルギーが混在する場合がある。新生児・乳児消化管
      アレルギーにおいて病理学的に好酸球浸潤が認められ、EGIDsと診断される例がある。
  6. 2部位により好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis, EoE)、胃炎(eosinophilic gastritis, EG)、
      胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis, EGE)、大腸炎(eosinophilic colitis, EC)に大別される。
  7. 3診断には消化管粘膜生検での組織好酸球数増多の確認が必須である。EoEでは内視鏡所見が特徴的である。
  8. 4EoEが疑われてもプロトンポンプ阻害薬(PPI)に良好な反応を示す場合はproton-pump inhibitor-reponsive
      esophageal eosinophilia(PRI-REE)と診断される。
  9. 5治療は局所および全身性ステロイド療法と原因食物の除去が中心である。しばしば再燃する慢性疾患である。
表12-1 新生児・乳児非IgE依存性食物蛋白誘発胃腸症の特徴

新生児・乳児期に主として牛乳抗原により発症する消化器症状を主体とする非IgE依存性食物アレルギーであり、食物除去試験・経口負荷試験により診断される。アレルゲン特異的リンパ球刺激試験(allergen-specific lymphocyte stimulation test, ALST)陽性や好酸球浸潤は補助診断検査であり参考にすることができる。原因食物の除去により治療され、一般に予後は良い。

図12-2 好酸球性消化管疾患の診療の流れ

好酸球性消化管疾患(EGIDs)は好酸球性食道炎(EoE)と好酸球性胃腸炎(EGE)に大別され、診断には生検による消化管粘膜好酸球増多の確認が必須である。EoEを疑った場合、プロトンポンプ阻害薬(PPI)に対する反応が良好な場合はPPI-responsive esophageal eosinophilia、不良な場合はEoEと診断される。EGIDsの治療は局所・全身性ステロイド療法と原因食物の除去である。

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