小児アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤、JAK阻害内服薬の使用について
アトピー性皮膚炎の治療は、薬物療法、スキンケア、悪化因子の検索と対策の3つを個々の患者ごとに組み合わせて行います。薬物療法ではステロイド薬を中心とする外用療法を基本とし、外用療法によって寛解導入に成功しなかった場合にも、まずは患者教育による治療の適正化を行った後に再度外用療法を行うことが求められています。
適正な外用療法でも中等症以上の難治状態がつづく患者に対しては、生物学的製剤やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害内服薬を併用した治療が選択されます。近年これらの全身治療薬が小児アトピー性皮膚炎患者に対しても保険適用となりました。全身治療薬は全ての年齢で適正な使用が求められますが、小児患者に対する治療における注意点について以下にまとめます。
・投与対象となるのは、アトピー性皮膚炎と診断され、6か月以上の外用療法によっても一定の重症度基準を満たす患者です。特に小児では先天性免疫異常症(原発性免疫不全)、代謝疾患、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎などとの鑑別も必要となります。
・ 重症度判定、医薬品情報管理、副作用発現時の対応のために投与する側にも医師要件、施設要件が存在しています。
・使用に際しては診療ガイドラインとともに、各薬剤について厚生労働省が発行している「最適使用推進ガイドライン」(詳しくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構のウエブサイトを参照)も必ず確認してください。
・皮膚以外の臓器も含めた長期にわたる安全性、成長発達への影響など解明されていないこともあります。これらに関する調査研究については本学会としても実施または協力を検討しています。
小児アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤、JAK阻害内服薬の使用について
2024年7月1日
一般社団法人日本小児アレルギー学会
アトピー性皮膚炎委員会