医療用ヘパリン類似物質製剤の適正使用について(続報)
昨年9月に健康保険組合連合会が行った「外来診療で皮膚乾燥症に対して保湿剤(ヘパリン類似物質または白色ワセリン)が他の外皮用薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時処方されていない場合には、当該保湿剤を保険適用から除外すべき」との政策提言がなされました。これに対し日本小児アレルギー学会では、保湿剤による治療を必要とするアトピー性皮膚炎患者に大きな不利益を生じかねないため、処方制限に反対する旨の要望書を厚生労働大臣、日本医師会長、健康保険組合連合会会長宛に提出いたしておりました(2017.11.23掲載医療用ヘパリン類似物質製剤の適正使用について)。その後、中央社会保険医療協議会において数度にわたり議論が行われた結果、本年2月7日に行われた厚生労働大臣への答申において、以下のとおり方針が決定され4月1日から実施されることとなりました。
- 血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム・ヘパリン類似物質)の使用について、美容目的などの疾病の治療以外を目的としたものについては、保険給付の対象外である旨を明確化する。
- 審査支払機関において適切な対応がなされるよう周知する。
【投薬】[算定要件]
入院中の患者以外の患者に対して血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)を処方された場合で、疾病の治療であることが明らかであり、かつ、医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合を除き、これを算定しない。
この方針は、公的医療保険の適用における従来からの原則を改めて明確化したものに過ぎず、平成30年度診療報酬改定において保湿剤の保険償還に新たな制限を加えるものではないと理解できます。
しかしながら、一方で、次期改定に向けた宿題事項を取りまとめた答申書の附帯意見には、「医療用保湿剤の適正な処方(中略)について引き続き検討すること」との記載もあり、我々関係者による適正処方の進捗は、次期改定における検証の対象となることが予測されます。
会員各位におかれましては、引き続きヒルドイド等の医療用ヘパリン類似物質の適正処方に努めていただくようお願い申し上げます。
2018.2.27