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『COVID-19 流行期における喘息発作に対するネブライザー使用時の注意喚起』改訂のお知らせ

COVID-19 流行期における喘息発作に対するネブライザー使用時の注意喚起(2023 年改訂)

 

日本小児アレルギー学会はCOVID-19 流行に伴い『COVID-19 流行期における喘息発作に対するネブライザー使用時の注意喚起』を2020年3 月26 日に公表しました(https://www.jspaci.jp/news/member/20200326-1235/)。2023 年5 月8 日より新型コロナウイルス感染症が5 類に移行した状況を踏まえて注意喚起を改訂しましたのでお知らせいたします。

 

改訂の要点

喘息発作に対する吸入療法として
変更前:COVID-19 を否定できない全ての患者にネブライザーの使用を避ける
変更後:COVID-19 確定または疑い例には pMDI+スペーサーの使用を推奨する

 

2023 年時点では、新型コロナウイルス感染症については感染した場合の自身のリスクと周囲へのリスクを勘案して個別に対策を判断・選択することを尊重することが求められていますが、医療従事者は患者をはじめとして感染時のリスクが高い者が周囲に多いため院内での対策を継続する事が望まれます。

日本環境感染学会の「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第 5 版 改訂版 2023 年1月17日」(以下、ガイドラインと略します)では、曝露カテゴリー高リス クである大量にエアロゾルが発生しやすい状況において、標準予防策に加えて N95 マスク などの個人防護具の着用が勧められており、その状況のひとつに「ネブライザー治療」と記載がされています。
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=490

一方、CDC(Center for Disease Control and Prevention)は Aerosol Generating Procedures (AGPs)に関する記載でネブライザーから発生するエアロゾルは、ネブライザー内の薬剤に 由来することから、ネブライザーから発生するエアロゾルが感染性を持つかどうかは不明 であるとしています。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/infection-control-recommendations.html

呼吸器症状がある患者の診療にあたっては、感染対策の基本的考え方に基づき標準予防策 をはじめとした適切な対応を行いますが、喘息発作治療については、COVID-19 確定例/疑 い例ともにネブライザーではなく、pMDI(+スペーサー)を用いることが望ましいと考え られます。小児気管支喘息治療管理ガイドライン 2020 の CQ9 では「SABA の吸入方法と して、スペーサーを用いた pMDI による吸入と吸入液の電動ネブライザーによる吸入のい ずれも提案される」としています。乳幼児など pMDI+スペーサーの使用が困難な場合にネブライザーを用いる際には、N95 マスクなど適切な個人防護具の使用、十分な換気などガ イドラインに準拠した対応が必要です。
https://www.jspaci.jp/assets/documents/jpgl2020_00_web.pdf
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328
https://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31

なお、基本的な喘息治療は、日本アレルギー学会による「新型コロナウイルス感染における 気管支喘息患者への対応 Q&A(医療従事者向け)」および Global Initiative for Asthma の 「RECOMMENDATIONS FOR INHALED ASTHMA CONTROLLER MEDICATIONS」 に述べられている通り、感染前の対応として、吸入ステロイド薬等の長期管理薬による日頃 からのコントロールが重要であり、普段から pMDI(+スペーサー)・DPI・ネブライザーな ど患児の発達に合わせて吸入療法を選択し、吸入指導を行うとともに適切な長期管理療法 の継続をお願いします。
なお、6 歳未満の乳幼児に pMDI で吸入ステロイド薬を処方する際のスペーサーについて は喘息治療管理料 2(280 点)の算定が可能です。
https://www.jsaweb.jp/modules/important/index.php?content_id=67
https://ginasthma.org/recommendations-for-inhaled-asthma-controller-medications/

*喘息治療管理料 2(280 点)
入院中の患者以外の喘息の患者(6歳未満又は 65 歳以上のものに限る。)であって、吸入ス テロイド薬を服用する際に吸入補助器具を必要とするものに対して、吸入補助器具を用い た服薬指導等を行った場合に、初回に限り算定する。

 

 

気管支喘息委員会
(2023.11.28)

 


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