【重要】2021年9月7日に放送された日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース」に関して抗議文を提出したこと
2021年9月7日に放送された日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース」のなかで、「ひどい肌荒れがまさかの方法で回復」との番組がありました。そのなかには、「ステロイドは本来体内で作られるが、ステロイド薬の使い過ぎにより体内でステロイドが作られなくなった。」(23:53)や、「再び体内で作られるようにするには、ステロイド薬を断つしかない」(24:09)といった、科学的に明らかに根拠のない内容もあり、患者さんへの悪影響が懸念されます。
日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚免疫アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本アレルギー友の会(患者会)は以下に当番組の問題点を指摘します。
- ステロイド外用薬の使用を、種類も使用法も区別すること無く否定し、ステロイド外用薬を用いた治療中の患者さんに恐怖と不安をあおる内容であったこと。
- 脱ステロイド「療法」という用語を用いることで、ステロイド外用薬を使わないことをひとつの治療法として、あたかも疾患が治るかのごとき期待を抱かせる内容であったこと。
- ステロイド外用薬を使うことの危険性を把握し、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に沿って診療を行っている医師と患者さんに不必要な不安と妨害を与えるものであったこと。
- 番組を視聴した結果、多くの健康被害をもたらす可能性が高いこと。
1990年代に始まったステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道により、「脱ステロイド」と呼ばれる不適切な治療が横行し、多くの患者さんが不利益を被った歴史があります。日本皮膚科学会では「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」を策定し、標準治療の普及に努めて参りました。その結果、ステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道が減ってきましたが、今回またこのような番組が放送され、医療の混乱を来すことは、看過することができません。
マスメディアは科学的根拠に裏打ちされた情報を基に、患者さんの利益になる番組を制作することが使命であると考えます。そのため、当番組を制作・放映したことに対して、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚免疫アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本アレルギー友の会から連名で日本テレビに対して厳重に抗議しました。
2021年9月14日
公益社団法人日本皮膚科学会理事長 天谷雅行
一般社団法人日本アレルギー学会理事長 海老澤元宏
日本臨床皮膚科医会会長 江藤隆史
一般社団法人日本皮膚免疫アレルギー学会理事長 佐野栄紀
一般社団法人日本小児アレルギー学会理事長 藤澤隆夫
日本小児皮膚科学会会長 佐伯秀久
認定NPO法人日本アレルギー友の会理事長 武川篤之